都会のヘビ。
生温い空気と人肌の雨が降る、ある朝の目黒川。
大きなヘビが1匹、水の気配に誘われるようにそこにいた。
地面に敷かれたタイルの大きさからして、1.5mは下らないだろう。
向こうから歩いてきたおじさまは足元のそれにビックリして、
歩きながら食べていたおにぎりを落としそうになった。
ヘビも同じようにビックリして、サッと植栽の下に隠れてしまう。
この界隈でヘビや抜け殻を見たことは何度かあるけど、ここまで大きいのは初めて。
こんな都会で、ちゃんと食べるものはあるだろうか。
仲間はいるんだろうか。
生きていけるんだろうか。
捕まったりしないだろうか。
ただただ、心配になる。
私は常々、カラスをとてもカッコいいと思っていて、いつか彼らと仲良くなりたかった。
艶やかな羽毛、賢そうに何かを見つめる眼差し、そして何と言っても潔い黒の美しさ。
付かず離れず、お互い自由でありながら、その存在を意識して認め合えるような仲になれそうで。
なんとかならないものかと、カラスについて調べてみたのですが、
“害鳥”であるために、餌付けや飼育をしてはいけないのだそう。
そっか。困ってる人もたくさんいるはずだから、仕方ないのかな。
でもふと、『害鳥』という文字に、私は思わず涙が滲む。
そうかもしれない。そうかもしれないんだけど、なんだかやるせない。
前にカラスに頭をド突かれたことがあるけど、きっと子育て中とかで気が立っていたのだろう。
卵を生めば、母なんだよ。
生きるためにやらなきゃいけないことがあるのは、みんな同じなのにね。
『害』ってなんだろう。
切り捨てられる側や弾き出される側の気持ちを、私はどうしても無視できなくて、時々苦しい。