時の流れに。
スタジオからの帰り道。
坂を下る途中にのぞく空が好きで、ぼんやり眺めながら歩く。
低い雲が優しい風に煽られて流れていくと、刷毛でなぞったような巻雲が姿を見せた。
これはもう、秋のはじまりの空だな。と、認めざるを得ない。寂しいけど。
今年の夏をふと振り返ろうとしてみたら、真っ先に浮かんだ画。
ジリジリと灼けつくアスファルトの上で、仰向けになっている蝉。
針のような肢はまだ微かに、ピクリと時々動く。
まもなく終えようとしている、生命の間際。
切なくて胸がキリキリ痛むのに、端から端まで精一杯に生きた命は美しくもある。
私はそんなふうに、生きているんだろうか。
いつまでたっても見えないまま。
いつか命が終わる時までに、それがわかるといいな。
そうだ、坂、といえば。
『コクリコ坂から』を観てきたよ。
時の流れというものを強く感じるこの季節には、なんだか寂しかった。
二度と取り戻せないものが、どれだけ儚くて貴重かということを、
ちょっとずつ考え始めたら、とてつもなく寂しくなってしまった。
という、私の勝手な感情。
心の表面の柔らかな産毛をそっと撫でるような、ステキな作品でした。
U W。
誇らしげにはためくZ旗は、まっすぐに、ただまっすぐに想いを伝えていたよ。
私も、こんなふうでありたい。