瞬く間の。
実家へ向かう道の程。
なんとなく好きなポイントがいくつかあるのです。
高速道路を降りる直前の、送電線の真下。
上へ上へと抜けていく空の清々しさと、五線譜みたいなラインに胸が躍る。
何を描いてもいいという自由、そして少しの規律。
そのバランスが、とても心地良いと思うの。
あとはね、これも高速道路から見えるんだけど、“気になる木”があるの。
小高い丘のような場所に立つ、一本の木。
すまし顔で穏やかに、行き交う車や立ち並ぶ住宅や人々の流れを見ている。
冬が来て葉が散って、冷たい風に吹かれて。
そして春が来ると、少しずつ芽吹いて、蒼く輝く。
気取るでも荒れるでもない、その凛とした佇まいに、密かに憧れているのです。
彼が見ているものを、その傍らで一緒に眺めてみたいと思うのですが、
どこのインターで降りてどうやって行けばいいのか、わからないまま。
憧れは、憧れのまま。
瞬く間に過ぎてしまう、なんでもない景色。
心の中に切り取って、走っていくの。
今日は母の日でしたね。
ということで私は実家へ戻り、母との時間を過ごしました。
みんなで手巻き寿司ですよ。
ありがとうを、ちゃんと込めて。