04
1月
2011
カメラを持たずに。
お正月らしい、高く抜けた空。
ホンの少しだけ、日常に戻りつつある街の色。
早々に仕事を始めた人は、よっこらせ、という空気を身にまとっている。
まだ冬休み中の子供たちが、ジグザグに歩いたり跳ねたりしながら、大人の後につく。
「今年もよろしくお願いします。」という声をあちこちで聞いた。
つい1週間前までは「よいお年を〜!」が飛び交っていた、改札口。
そびえ立つビルの肌に沿ってグングンと上昇していく、漆黒のカラス。
あぁ、なんて気持ち良さそうなんだろう。
テッペンから見渡す景色を、出来ることならお裾分けしてもらいたい。
カメラを持たずに、今日目にしたモノをひとつひとつ思い出してみる。
前髪を跳ね上げた風。
手袋から出た指先の温度。
顔を洗う水の鋭さ。
同じ“冷たい”でも、どれもニュアンスが違う。
写真で見るより、記憶の方がずっと立体的だな。
3D映像が、なんだってんだ。
こういうことを、どうしても忘れたくない。
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