11
6月
2013
自然の音。
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桃のような香りを放つ、クチナシの花。
霧雨に包まれて、しっとりと留まる。
ハッとして、立ち止まる。
夏の吐息は、なんて甘い香り。
電車に乗るのをやめて出来るだけ歩くようにすると、感性も敏感になる気がする。
人混みの中に紛れてしまうと、ほんの些細なことにさえ苛立つもの。
気心の知れた人たちに対しては、いつもあんなに寛容でいられるのに。
自分の中の、落ちない染みのような意地の悪さを封印できて、心地いいもんだよ。
雨粒が葉を叩く音、川の流れる音、魚の跳ねる音、風の音、鳥の声。
自然の音は、安全な音。都会にも、あるよね。
私の身体も境目なく、溶けてしまえばいいのにな。
そんなふうに、存在していたいのに。
今は少し、音楽が入ってこない時期みたい。
そんな時は、ムリをしない。
自然に欲するまで、心に耳を傾ける。
無意識に手を伸ばした色。
好きだと思ったメロディ、言葉。
それがきっと、私らしさだ。
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