01
6月
2011
涙が、出るな。
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ツバメが空を行き交います。
ひな鳥たちのために、セッセと虫を集めています。
シュンと、飛びます。しっぽが、チョキです。
小鳥が琵琶の木の枝を揺らしていました。
実をつつくには、まだ少し、早いんじゃないかしら。
ふと、考える。
私の周りの、大切なもの。
家族、友達、憧れの人、好きな人、小さな命、音楽も、写真も、遊ぶことも。
大切な人の、大切なものまで。
ひとつひとつ集めていたら、いつのまにか、たくさん。
両手いっぱいになって、零れないように必死で抱える。
傷つけたくなくて、壊したくなくて、失いたくなくて。
自分の欲深さにうんざりしながらも、時々、怖くなる。
そうして年を、歳を重ねるごとに、深まっていくんだね。
大切なものが増えることが、生きることへの未練になるんだろうな。
気がつけば、“願い”はいつだって、誰かのためのもの。
涙が、出るな。
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