子供の世界。
久しぶりに見ました、コレ!
停めてある車から漏れたオイル?ガソリン?
よくわからないけど、この雨上がりの舗道に滲む虹を見るのが好きだった。
しゃがみこんでジッと見つめて、万華鏡みたいに広がる世界に身を投じる時間。
どこまでもどこまでも、イメージは膨らんでいったな。
子供の頃は、自分が知っているわずかなこと以外、決まりなんてなかった。
イメージの中でならどこにでも行けたし、なんだって出来た。
虹を滑って、雲から雲へジャンプして。
いつも気になっていたのは、ピアノに映った向こう側。
私と同じくらいのあの女の子は、普段どんな暮らしをしているんだろう。
私が出掛けていくと、彼女も出掛けていく。
どこへ行くんだろ。どんな子なのかな。
いや、まぁ映っているのはもちろん私なのですが、なんだか違う子に見えたのです。
少しだけ大人びているような、影を含むような雰囲気があって。
黒いピアノに映っていたからかしら。
子供が見ている世界、思い描く世界を、同じ気持ちでまた見てみたい。
“常識”にすっかり塗り替えられてしまう前の、あの世界を。
それを音にしたら、色にしたら、きっととても鮮やかなんだろう。
せめて、忘れたくない。