はじまりの日。
川沿いの桜の木々は、ぷっくりと膨らんだ蕾の重みで大きく枝がしなっている。
ところどころ、弾けたポップコーンのように花が開きはじめています。
私は先月、一足先に早咲きの河津桜を楽しんできましたよ。
さて私事ではありますが、先日、娘が中学校を卒業しました。
義務教育を終え、自分の意志でこの先の道を歩もうとしている姿はとてもたくましく、眩しく見えるものですね。
ずいぶん前に『はじまりの日』という曲を作りました。
当時まだ幼かった彼女の、キラキラした魂に感じた果てしない可能性を表現したかった。
世界中に溢れる美しいものや、悦びも悲しみも、全てのことを吸収して欲しいと願ったことを。
無条件に愛情を注ぎたいと思う相手が目の前に現れたとき、私の世界も変わっていった。
誰にも必ず、こんなふうに自分のことを想っている人がいる。
自分の痛みを、自分以上に感じる人がいるんだと、初めて実感したのです。
そうすると、いつの間にか、人を他人と思えなくなってくる。
娘を通して、もっと深く人を愛することができるようになった。
彼女はそれほどに、私にとって大きな存在で。
ずっと繋いでいた手も、いつしか離さなければいけない時がくるんだろうと、
嬉しさの中に混じった寂しさを、じんわり感じている春です。
Chie*