08
10月
2012
生きた証。
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雨風にさらされて、傷んだり剥がれたり。
こんな姿は、結構好き。
ずっとこの場所で、何を見て、どれだけの人を招いて、どんな時を過ごしてきたのかな。
廃墟となったビルから、人々の気配を感じ取る。
話し声、足音、電話の鳴る音、窓を開けて頬杖をつく人。
そしていつしか、ひとり減り、ふたり減り。
「そろそろか。」
と悟って、ゆっくり目を閉じ、その時を待っているように思えてくる。
彼はきっと、今とても穏やかな顔をしてる。
外壁の汚れや傷は、生きた証なのね。
そんな気がしてくる。
こうやってすぐ感情移入してしまうから、解体中の建物の前で涙が止まらなかったりするんだ。
昔から、モノが壊れていくのを凝視出来ない。
命を吹き込むのも、壊すのも、人の手なんだよね。
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